嗚咽
646: 645 2001/06/26(火) 04:54
俺が、働きもしないでダラダラと過ごしていた10年ほど前、ばあちゃんが入院した。 
ばあちゃんとは、別居だったが、歩いて数分のところにじいちゃんと住んでいた。 
でも、なんとなく、顔を出すのも照れくさく5年、いや10年以上も顔を見せていなかった。 
病気の容体があまり良くない事は母から聞いていたのだが、お見舞いに行っても、ずっとご無沙汰 
だったので、何を話していいのかも解らないし、お見舞いに行くのをズルズルと引き伸ばしていた。 

それを母親に怒られ、強引に連れられ、母親と一緒に病室に見舞いに行った。確か10年ぶりぐらいに会った 
んだと思う。 




「ああ、○○(俺の名前)大きくなったなあ」と、ばあちゃん。
俺は、何と言っていいのかもわからないし、近くに住んでいるのに、大きくなったなあって言われるのも
なんだか違和感を感じていたし、何より20歳を越えた人間にそんな事を言うばあちゃんに当惑した。

見舞いに何を言って良いのか、長いブランクで何を話していいのかも解らなかった。たいした事も言えずに、
その場の空気を苦痛に感じて、俺は、色々と世話を焼く母親を残して、5分ぐらいで病室を出てしまった。
帰ろうとする俺をばあちゃんが呼びとめて、
「○○、よく来てくれたなあ。こづかいやるから待ってろ」と言い、ガマ口を出した。
俺は、「いいってばあちゃん」と断ったが、半ば無理やりに俺にこづかいをくれた。

ばあちゃんは500円玉を俺に手渡した。ばあちゃんの体温でやたらと生暖かくなっていた。
俺は「昔、よくばあちゃんに、こんな生暖かい100円玉を貰ってアイスとか買いに行ったな」と思った。

一人、その500円玉を握り、暗くなった病院から出た。
「ばあちゃん、20歳過ぎた孫に500円のこずかいは無いよなあ…ばあちゃん、俺が何歳だか解ってたの
かな?まぁ、だいぶ会ってなかったから、解らないのも無理無いか…でも500円…子供じゃないんだから…」
と思い、なんとなく、自分のサイフにその500円玉を入れられずに、ずっと握りながら帰った。

そんな事をずっと考えながら、暗い道を家まで帰った。知らない間に、ボロボロ泣いていた。

ばあちゃんは、退院すること無く亡くなった。
今でも無駄使いしそうになると。あの500円の生暖かさを思い出す。

648: 係長 2001/06/26(火) 05:10

ばあちゃん、泣けたage・・・あ、やべ、まじ涙出る・・・

649: 645 2001/06/26(火) 05:44
>>648
ありがとう。
今でも、もっと会ったり話したりしとけば良かったと後悔してます。
ばあちゃんの連れ合いのじいちゃんも今年亡くなりました。孫とのたいした思い出も
作ってやれなかったのを本当に後悔してます。

ここ読んでる若い人、若い頃は、じいちゃんばあちゃん家に行くのが面倒だったり
するのは解るけど、ただ、遊びに行くだけでも嬉しいものなんです。
孝行できる人は、顔見せるだけでも孝行してあげて下さい。